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最新情報 : 文学部教員コラム vol.165 今年こそは笠ヶ岳の雪形を … 比較文化学科 大越 公平 先生
投稿日時: 2014-1-31 8:00:00
 今年は午の年。「今年こそは笠ヶ岳の雪形(馬の形)を見よう」と今から意気込んでいます。実は、2012年6月に、新穂高のロープウェーに乗り、展望台まで行きました。そこで笠ヶ岳の雪形が見えるはずでした。長野県の松本を出て新島々を通ったときには晴れていて、期待が膨らんだものの、トンネルを過ぎて岐阜県に入ると大雨。案の定、展望台では霧に覆われた山々のその姿は見えません。あえて記念写真を撮りました。霧のスクリーンの前に立っている人物写真。これもこの場所に立った記念写真であると思っても、虚しさが優先します。展望台にある写真店のスタッフが気遣ってくださり、晴れた日の鮮やかな穂高連峰の写真をいただきました。
 今年こそは笠ヶ岳の雪形探訪を楽しみにしています。

<笠ヶ岳と馬のぬいぐるみ>

飛騨・高山の民芸品店から馬を象った木版手染めのぬいぐるみの新作が、昨年の暮れに届きました。さっそく研究室のパソコンの脇に置くと、今にも駆け出しそうです。
 かなり以前に田淵行男の『山の紋章 雪形』(東京:学習研究社 1981)でこのぬいぐるみの絵を見かけ、この民芸品を知りました。この本のなかでも私にとっては、とくに印象深い頁です。見てもすぐには分かりにくい笠ヶ岳の雪形を紹介するために、雪形の写真の右に、このぬいぐるみの絵が使われていました。田淵の解説では高山市の土産物店で目にしたものだそうです(190頁)。おそらく、この店のぬいぐるみを見つけたのでしょう。ひょっとしたなら買って帰り、雪形を紹介する原稿のレイアウトを考えたのでしょうか。














 今年の「ひょうたん」仔馬














 干支にちなんだぬいぐるみ

 農事暦として機能しなくなった雪形の伝承を追いかけることは、現在、かなり難しいのですが、こうした郷土玩具等がこの伝承を間接的にサポートしてくれているのかもしれません。このぬいぐるみを作った人びとは笠ヶ岳の雪形をモデルにして作成したのでしょうか。ぬいぐるみの説明書には、左甚五郎の若き作品「稲食馬」をモチーフにしたと記されています。製作された方を一度お訪ねし、お話を伺ってみようと思っています。6月、笠ヶ岳雪形探訪の際に予定しましょう。晴れの日を願って。

















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           写真拡大

<飛龍の雪形とぬいぐるみ>

 昨年6月16日(日)、中央アルプスの田切岳に現れる雪形、「飛龍と白鳥」を眺めることができました。駒ヶ根市周辺での伝承もはっきりしなくなっているのですが、雪形そのものは、変わることなく鮮やかな形が現れます。
 梅雨に入って間もない時期です。この前日は大雨で山々は雲に覆われていましたので、山容を眺めることなく横浜に戻ることになりそうだと幾分諦めかけながら床に就いたのですが眠れません。深夜に大雨は止み、小雨になりました。少し明るくなりかけた朝方に、旅館の窓から山並みを眺めますと黒々とした山々がうっすらと見え、その一つの山の頂上付近に白いものが見えています。よく見ると念願の「飛龍」の雪形です。私は少し興奮気味。手ぶれを気にしながらもシャッターを押しました。日が昇るとともに雨も止み、山裾に雲が広がっているものの青空を背景にした頂上付近の山容は見事でした。「飛龍」とその左に見える「白鳥」は華麗に舞っています。朝食後、旅館を出て、天竜川の河岸段丘を行き、ほぼ同じ画像ですが、さらに何枚も何枚も撮り続けました。














 雪形(飛龍)














 飛騨・高山の工芸品「飛龍」

 この山の麓には薬用酒を製造している会社があります。その会社のマークには、雪形によく似た飛龍がデザインされています。雪形との関連はありませんと会社の方は説明されていますが、雪形探訪ファンはこの連想を楽しんでいる人もいます。
 中央アルプスではこの飛龍が消えると雪形の季節も終わりを迎えます。その時、「飛龍」は、「白鳥」は、何処へ飛んでいったのでしょうか。夏も過ぎ、再び晩秋の雪が積もるころに舞い降りて、羽を休めたことでしょう。今ごろは雪深い山の斜面で6月の出番のために新作を練っているのかも。今年も華麗な雪形を見せてくれることを期待しています。














          ↓↓↓↓↓        雪形(白鳥と飛龍)(2013年6月16日)
           写真拡大 
※左側・・・白鳥(他の鳥の形にも見えますが) ※右側・・・飛龍(天地を逆に見てください)





 本コラムは、ゼミナールのメンバーに送信した「研究室歳時記」(2013−10)(2013年9月7日)をもとにしています。「研究室歳時記」では、折りに触れ、関心をもった文化事象についての考察やゼミナールメンバーの研究テーマに関連する諸文化事象についての私の考察を簡単にまとめています。身近な文化事象に研究のヒントを探しましょう。


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