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最新情報 : 文学部教員コラム vol.188 出張講義・知のフロンティア「子どもの格差と教育の不平等」      … 現代社会学科 佐々木洋成 先生
投稿日時: 2014-11-28 8:00:00
 秋学期がはじまって間もない10月4日、神奈川区の横浜創英高等学校で出張模擬授業を行なって参りました。高校生のための出張講義・知のフロンティアにおけるテーマ「子どもの格差と教育の不平等」で依頼があり、これを受けたものです。授業は、各大学から1名ずつ教員が出向いて、「経済」や「栄養」など20の分野に分かれて行なわれました。私は 「教育」の担当です。「将来、教育の仕事に携わりたいと思っている」という2年生37名(男女半々くらい)が出席してくれました。設備の整った特別教室を用意していただき、ご配慮に感謝です。

 授業は、本年8月29日に閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱」を解説することから始めました。この大綱は、「子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」というものです。そして、教育格差の実態と要因に関するデータ、教育基本法第4条第1項「教育の機会均等」の考え方、国と東京都による教育格差対策について説明しました。普段目にすることのない教育政策や官庁統計の話でしたが、ほとんどの生徒さんは最後まで集中して聴いていました。

 先日、進路指導部の先生から丁寧なお礼のお手紙を頂きました。その中に、生徒さんたちが書いた模擬授業への感想文が同封されていましたので、了解を得てそのうちの一つを紹介してみたいと思います。

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 私は模擬授業を受けて、自分が当たり前のように高校に通って、教育を受けられることが幸せなことだと改めて感じました。一番驚いたことは、日本の(子どもの)貧困率は16.3%であり、世界では(主要先進国の中で)3番目に高い割合だということです。これは所得が高いほど大学進学率が高くなり、所得が低いほど大学進学率が低くなってしまうという「教育の格差」が生じてしまう一番の原因だと思いました。また、ひとり親家庭で育った子どもの大学進学率が全体よりも低くなってしまうという問題を解決するために、ひとり親家庭の人達を配慮する取り組みが必要だと感じました。
 また、日本の教育費は高すぎると感じました。奨学金を受給する大学生は2人に1人と聞いて、教育費をもう少し安くして欲しいと思いました。
 私が普段、教育が受けられるのも、親が教育費を払ってくれているからだと思い、これからは、今までよりも、一回一回の授業を大切にして、親に感謝して、勉強に取り組みたいです。
 「教育の格差」に対する具体的な対策として、東京都が行なっている「受験生チャレンジ支援貸付事業」を開始したり、文部科学省が高校生対象の給付型奨学金を開始するなどの対策があることを知り、もっと多くの県がたくさんの対策をしていけばいいなと思いました。
 これから、教育の制度や法律などについてもっと詳しく知れたら良いです。

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 今回の出張講義は、社会的関心の高いテーマであり、「知のフロンティア」にぴったりの内容でした。授業の雰囲気も良く、充実感もあったのですが、その上、高校生たちの学びに向き合う気持ちを知ることができて、嬉しくなりました。また、教育格差問題の重要性が理解されていることは、素晴らしいと思います。言うまでもなく、自分の利益が減るから格差是正に反対という主張は、あまりに身勝手です(芥川龍之介の児童文学作品「蜘蛛の糸」が思い出されるかもしれません)。まことに、「若者は時代の子」なのであって、成熟した豊かな社会の方向性を感覚的に知っているのだと思いました。このような高校生たちが大学に入ってしっかり勉強してくれたら、ニッポンの未来はきっと明るいです。





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